~第三章・大切なのは気持ちなんだよな~

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泣きながら俺を殴る蹴るのオンパレード。 女に手を上げるなんてことはできない俺としてはやめさせるために言葉を使ったが、無理だった。 「もういい、由夜なんて知らない…帰る」 僕は病院に行きたいですよ、綾さん。 なんとか力を振り絞り倒れながらも綾の手を掴んだ。 「綾…君はなにか重大な勘違いをしてる」 「うっさい、私に飽きたんだからもう話しかけ…」 「聞け…俺は勉強に飽きたんだ、ガクリ」 金色の光が見える。 ああ、天使が俺を迎えに来てくれたんだ。 今、行く…。 「寝るなっ」 「痛い、わ、わかったから指を曲げるな」 「で、どういうことなの?」 朦朧とする意識の中、俺は懸命に弁解した。 勘違いを晴らすため戦った。 その後は綾にやられた傷を湿布等で治療された。 やった奴に看病されるのは酷くしゃくだが仕方ない。 「馬鹿、由夜の馬鹿」 「あの状況なんだから勘違いしてもしょうがないだろ」 「言い訳するな、馬鹿由夜…でも一応謝っとくわ。ごめんなさい」 納得しないが、泣かせたしもとはと言えばしっかりしない俺のせいなのだからこれ以上言うのは格好悪い。 「いや別に怒ってないけど…」 「でも由夜がいけないんじゃない…私のことほっとくから」 俺としては綾のことは考えているつもりなんだが…しかし落ち込んでいる綾を見るのは調子がでない。 軽く溜め息をついてから綾に優しくキスした。 確かにこうして直接的な行為で示さなかった俺が悪い。 女心というのは難しい、特に綾みたいに素直じゃないのはなおのことだ。
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