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「よかったわね、綾ちゃん」
「あ、ありがとうございます」
準備を終えて椅子に座って携帯をいじっていると、キッチンからそんな会話が聞こえてきた。
「静恵さんのおかげです」
「そんなことないわよ。綾ちゃんが頑張ったからよ…それにもう由ちゃんを骨抜きにしたんでしょ?」
「そ、そんなことないです…わ、私はあんまり魅力ないから…その…それに由夜の事好きなのに殴ったりして…」
盗み聞きする気なんて全くないが、色々タイミング良く聞こえてしまう。
まあ静恵さんは話しやすいから仕方ないか。
「確かに手をあげるのは良くないと思うわ…けれど可愛い綾ちゃんなら大丈夫よ」
「で、でもまだ……その……手を出されてないし…」
「そう…ほらそんな顔しないの。私に任せて」
綾は馬鹿だ、なんて事を口にしやがるんだ。
静恵さんはキッチンから出ると俺の前の席に腰を置いた。
勿論なにもなかったように携帯に視線を落としてえ、なにみたいな感じを醸し出した。
「由ちゃん、綾ちゃんが不安がってたわよ?」
「な、なにがですか?」
「まあいいわ、帰ってきたらお説教だからね?」
ニコニコと笑みを浮かべているが、俺は苦笑いしかできなかった。
静恵さんの説教は長いし怖いから嫌なんだよな。
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