~第十章・新しき毎日~

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「きゃっ」 目を覚ますといきなりすぐ近くで悲鳴を聞いた。 悲鳴をあげたのは、昨日の夜からツインテールを解き、長い髪を揺らす綾だ。 「おはよう…なにしてたの?」 「う、うん……その……お、おはようのキスを………ってあれよ、ほら、キスは挨拶みたいなものでしょ、私がしたいとかじゃなくて…ちょ、ちょっとなに笑ってんのよっ!」 なんだか可笑しい、昨日はお互いあんなにも恥ずかしい事をしたというのに、目の前の綾はキスがしたいなどという簡単な事も言えない。 しかしそんな綾を可愛いと思い意地悪してしまうのは悪い癖だ。 昨日完全に開化してしまった、だから今日は優しくしよう。 「ごめんごめん、だって綾が可愛くおねだりするから…」 「お、おねだりなんかしてないわよっ!」 「ならしない、それでいいか?」 綾は明らかにテンションが落ちてしまう。 俺はそんな綾を尻目に寝間着から普段着へと着替えを始める。 「やっぱりそうなんだ……」 「なに…が……」 何気なく綾の方を向くと、俺は固まった…何故なら両手でテニスラケットを握りしめ、既に振りかぶっていたからだ。 「私の体に幻滅したんでしょ…それで捨てるから冷たくして…」 「ち、違う、誤解だ。お、俺はただ綾が可愛いから意地悪しちゃうんだ、ほ、本当にそれだけだ、愛してるんだ、アイラブユー」 あまりにも凄い威圧感に、思わず倒れ込んでしまい格好悪い状態でそう言う。 「う、嘘じゃないでしょうね?」 「勿論だ、キ、キスでもなんでもするから近くにこい」 綾はコクリと頷くとソワソワしながら、俺に抱き着く。 よ、よかった、気をつけよう、やりすぎは良くないな。
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