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「きゃっ」
目を覚ますといきなりすぐ近くで悲鳴を聞いた。
悲鳴をあげたのは、昨日の夜からツインテールを解き、長い髪を揺らす綾だ。
「おはよう…なにしてたの?」
「う、うん……その……お、おはようのキスを………ってあれよ、ほら、キスは挨拶みたいなものでしょ、私がしたいとかじゃなくて…ちょ、ちょっとなに笑ってんのよっ!」
なんだか可笑しい、昨日はお互いあんなにも恥ずかしい事をしたというのに、目の前の綾はキスがしたいなどという簡単な事も言えない。
しかしそんな綾を可愛いと思い意地悪してしまうのは悪い癖だ。
昨日完全に開化してしまった、だから今日は優しくしよう。
「ごめんごめん、だって綾が可愛くおねだりするから…」
「お、おねだりなんかしてないわよっ!」
「ならしない、それでいいか?」
綾は明らかにテンションが落ちてしまう。
俺はそんな綾を尻目に寝間着から普段着へと着替えを始める。
「やっぱりそうなんだ……」
「なに…が……」
何気なく綾の方を向くと、俺は固まった…何故なら両手でテニスラケットを握りしめ、既に振りかぶっていたからだ。
「私の体に幻滅したんでしょ…それで捨てるから冷たくして…」
「ち、違う、誤解だ。お、俺はただ綾が可愛いから意地悪しちゃうんだ、ほ、本当にそれだけだ、愛してるんだ、アイラブユー」
あまりにも凄い威圧感に、思わず倒れ込んでしまい格好悪い状態でそう言う。
「う、嘘じゃないでしょうね?」
「勿論だ、キ、キスでもなんでもするから近くにこい」
綾はコクリと頷くとソワソワしながら、俺に抱き着く。
よ、よかった、気をつけよう、やりすぎは良くないな。
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