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もうそろそろ学校か…。
まひるちゃんは相当ご機嫌なようで喋っては笑い喋っては笑いを繰り返していた。
それを見守る俺も相当ご機嫌。
そんなわけで時間の経過はとても早い。
「それでね……あ。」
突然彼女の口が塞がった。
不思議に思い彼女をみると笑みは消えなんだか悲しそうな表情をしてなにかを見つめていた。
俺も彼女の視線の先に目をやった。
そこには仲睦まじげに歩く家族。
まひるちゃんぐらいの子供に手を繋ぐ両親。
まひるちゃんはなにか自分と重なるものがあるのかもしれない。
俺は言葉に詰まった。
ボキャ貧な俺にはこの場を和ませられるような器量もない。
ただまひるちゃんの動向を待った。
ほどなくするとその家族の姿はみえなくなった。
よく泣かないで堪えたと思う。
俺にできることはまひるちゃんが泣きついてきたら胸を貸すぐらいだろうか。
「兄ぃ。」
そんな時はまひるちゃんは震えた声でそう呟いた。
「ん…どうしたのまひるちゃん?」
「今のまひるには兄ぃがいるから全然平気だもんねー。」
そう言って抱きついてきた。
まひるちゃんは強いな……いや強くなんかないか……多分必死に堪えてるだけ。
「よしまひるちゃん。今日は学校サボって遊びに行っちゃおうか?」
そうだ……今俺にできる精一杯のことをしよう。
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