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「でも由佳ちゃん……ここ結構狭いよ?」
トイレと風呂付きだから居間(リビング)と寝室しかないからね。
「私は押し入れで寝るからいいわよ。」
そう言って襖に手をかけようとした。
そこには俺の嫁達がひしめき合ってるんだ…くそっ。
いま俺は一年分の体力をここで使わせてもらうぜ。
勢いよくテーブルを叩きその勢いで体を立たせ素早く由佳ちゃんの前に立ちふさがった。
わずか3秒の出来事だった。
「なによいきなりきて……まさか私を襲う気?」
「違うんだ……由佳ちゃん……ここの押し入れはね……出るんだ。」
少し声のトーンを落としてそういう。
中学生ぐらいの頃はよく怖い話が流行ったからね……それでいてそういうのを苦手な子の率が高かったからね。
由佳ちゃんもそのたぐいだと信じたい。
もしこの襖が開かれたら優しいまひるちゃんとは違って由佳ちゃんは仮に幼い子が主役のPCゲームなんて探り当てたひにぁ警察に行かれてしまうからね。
「はあ?…あんた幽霊なんて信じてるの?」
ちきしょう……信じないくちか…だが俺は怖い話に定評があるぜ。
「由佳ちゃん……そうはいうけどね……昨日だって夜中この押し入れの中からうめき声が聞こえたんだ………助けてー助けてー…てね。」
「ふ~ん……で?」
「いやだからおっさんの声でだよ……助けてー助けてー……何度も何度も…。」
「わかった、気をつけるわ…早くそこどいて。」
万事休すとはまさにこのことだった。
どうする俺……どうすんだ。
いつの間にか顔が冷や汗でいっぱいになっていた。
「ふえぇぇぇぇぇぇん……兄ぃーー。」
そんなとき泣きながらまひるちゃんが俺の足に抱きついてきた。
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