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俺は由佳ちゃんに渡された紙に目を通した。
兄ぃへありがとう。
今までありがとう。
短い間だったけど優しくしてくれてありがとう。
まひるはありがとう。
まひるは帰りますありがとう。
なんだか目頭が熱くなるな。
読んだだけで気持ちが伝わる手紙なんて生まれて初めて読んだよ。
ありがとうって言うのは俺のほうだよ…まひるちゃん。
俺は紙を胸ポケットに収め歩き出した。
「ちょっとどこ行くのよっ。」
「由佳ちゃん…昼はお弁当食べて…夕飯と洗濯とか頼んだよ。後一応戸締まりよろしく。」
玄関のバイクの鍵を握り締め外にでた。
ようやくわかった。
鈍感すぎるな俺は…。
だから彼女もいない。
いや……妻ならいるか。
まひるちゃんに謝ってから一緒に住んで欲しいと気持ちを伝えよう。
別にいいじゃないか年齢が離れてるぐらい。
後何年か待てば良いだけの話だ。
その時になれば俺だって働いてるしまひるちゃんも立派な大人だ。
それより今彼女を迎えにいけないで一生会えないのが怖い。
多分今迎えに行かなかったらまひるちゃんとは何もなかった事となるに違いない。
歯がゆい気持ちが歯軋りやらバイクの乗り込み方にも影響した。
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