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ドアを開けてすぐ嗅ぎ慣れた家の匂いと光景になんだが安堵する。
俺はそんなことよりすぐに玄関の靴を確認した。
あった……この大きさの靴は確実に両親のじゃない。
「母さん帰ってきたか…今真一郎の馬鹿を追い返し……あいたっ。」
全く気付かないで喋りやがるからつい拳を旋毛に落としてやった。
「ただいま馬鹿親父…話は後だ、まひるちゃんはどうし…いだっ、なにすんだよ。」
親父が俺の顔をひっぱたいた。
だが何年ぶりだろう…こんな真剣な親父の顔をみるのは…。
「よくもぬけぬけと顔を出せたな…まひるちゃんは泣いてたぞ?真一郎…女を泣かせちゃいかんだろう?そうは思わないか?」
俺の胸倉を掴み険しい口調でそう言った。
「親父の言うとおりだ…確かに俺のやり方はベストじゃなかった。だけど…。」
言葉を続けようとすると親父が更に眉間にシワをよせ口を開く。
「言い訳はするな…謝るのか謝らないのか?」
ただでさえこんな親父は初めてなのにここまで言われると萎縮してしまう。
「俺は……まひるちゃんに謝りにきた。」
親父は俺の胸倉を掴む手を離し表情を緩め反転して居間に歩き出した。
そして上を指差した。
じゃあまひるちゃんは俺の部屋にいるのか…。
俺は軽く親父に頭を下げて二階に向かった。
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