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なんとか3人を抱きつき程度で解放してもらい早速由佳ちゃんの親元に電話。
そよかちゃんとまひるちゃんは空気を読んでくれたみたいで買い出しに行ってくれた。
由佳ちゃんは帰る気はないらしい。まあ俺としてはこの際どっちでもいい…そりゃあ由佳ちゃんが帰るよりは居てくれた方が楽しいけどね。
「もしもし。」
そんなとき少し低い女の人の声。
声色からしてオバサンという分類だろうか。
由佳ちゃんは興味がないのかPCの前にいる。
「もしもし…いきなり電話してすいません。桜井真一郎といいます。由佳さんが…。」
「由佳そっちにいるの?」
相変わらず電話先の女性は全く態度を変えない。
不快感が生まれた。見受けしてるわけだし1日以上留守にしてるなら心配の1つもするだろう。
「はい、住所は聖聚市のなごみ荘の102です。由佳さんは帰りたくないと言ってるんですが…。」
「あらそう…じゃあ荷物とか書類とか送っとくわ。よろしく。」
ツーツー……電話が途切れた音が左耳に木霊する。
この感情は怒りか……いや絶対怒りだ。
そう思い再び番号を押そうとするとその手を掴まれた。
「だから言ったでしょ…アイツらは私になんて関心ないって…ってなに泣いてるのよ。」
「え……あ……。」
気がつくと涙が頬を伝っていた。若干鼻も詰まってきた。
おかしいだろ…まず親がおかしい……それに今出た奴も…。
あんまりじゃないかこんなの…仮にも由佳ちゃんはまだ子供だぞ。
その子供の由佳ちゃんが、1日以上家を空けたのに誰も心配しないなんて…。
「ほらティッシュ。」
にょきっと俺の前に小さい手とともに出たティッシュ。
「ありがとう。」
とりあえずそれで顔を整えた。
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