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正座…日本古来より伝わってきた座りの作法。
慣れてない俺にとっては辛いものがある。
由佳ちゃんは知らん顔してPCゲームに夢中。
しかも積んでてまだやってないやつだ。
もうそこまでいったか…由佳ちゃん…あとでじっくりPCゲー総論しようか。
「やっぱり僕じゃだめだよね。僕は男だもんね。」
目の前に座る夕が、悲しそうな笑みを浮かべた。
鬱です…どうしようもありません。
「俺は別に夕が嫌いとかじゃないよ…むしろ好きだよ…友達としては一番だよ。」
俺が言えるのはこれが精一杯だろう。
そよかちゃんとまひるちゃんは隣に座りなんとも言えない表情をしている。
「夕ちゃんは兄ぃが好きなの?」
そんなときまひるちゃんがいつも口調でそう言った。
「うん。小学校から大学の今まで13年以上一緒だったから…。」
「まひるも仮に男の子でも兄ぃを好きになったと思うよ?兄ぃはせい……う~ん…兄ぃは男の子か女の子で判断するの?」
いたいけなまひるちゃんだから俺にそんなことを聞く。
答えられない…夕の手前傷つけるようなことは言えない。
俺が言葉を選んでいると夕は立ち上がった。
「今度は絶対女に生まれてくるからね。バイバイ真一郎くん。」
彼女は鞄を持って足早に家を出ていった。
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