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「レジャーシートはもった?忘れ物はない?」
「完璧、夕こそ弁当大丈夫?」
「うん、ぬかりないよ。」
お互い準備が整ったところで美沙さんと合流してタクシーで帝都に向かう。
結局親父と話した日は泊まることになった。無論次の日はしっかりまひるちゃんを学校に送り届けた。
それから二人が帰ってきて数日して今に至る。
親父も来たいと喚きまくったらしいが、母さんにやられあえなく撃沈。代わりというわけではないが、誘うつもりだった夕に由佳ちゃんとのダンスを依頼しといた。
「桜井さんもっと元気よくしないとだめですよ?」
「すいません、気をつけます。」
夕もよく気にかけてくれたが、そっとしておいてほしいと言ってあるので心配そうに俺を見ているだけだった。
自分ではそんな気はないんだがやはり周りからみると元気がないように見えるか。
覚悟はしてたし、時間がないとは思っていたが…いやまあそんなものなんだろう。
親父曰くあと数ヶ月らしい。昔の文献をいくつか探してようやくあったイギリスの方で、似たような現象があったらしいけどそれでも10ヶ月ぐらいだったそうだ。
それによると最愛の人を病気で無くし埋葬やらを終えた日の翌朝にひょっこり帰ってきたという。
勿論その現象を喜んだが、だんだん最愛の人は弱っていき遂には消えてしまったらしい。
生き返った最愛の人を友人にも会わせていたのに消えてから友人に話を聞くと皆口を揃えて知らないと言われたみたいだ。
ならあとどのぐらいだ…長くて春ぐらいか。
それを考えただけで悲しくなる。出来ることなら一分一秒でも彼女が望む限り一緒に居たい。
しかし学校を休ませたりして由佳ちゃんやそよかちゃんに感づかれたくない。
記憶が残るであろう俺だけが彼女が消えた悲しみを背負えばいい。
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