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「持って行きなさい。」
そう言って戻ってきた親父から渡された物。
資料だ…親父なりに調べてくれた物だ。
「な、なんでこれを?」
「いや私にもわからん。」
罰悪そうに頭をかきながらそういった。
まさか覚えていた…いや…。
「だがこれは渡さないといけない…いや絶対渡さないとならん。」
記憶で忘れていてももしかしたらなにか…うまく言えないが、心とか体が覚えていたのかもしれん。
「そっか…まあさすが親父だよ。」
「だろう…真一郎、ちゃんと三人娘の面倒をみるんだぞ?」
「そうよ…今は真一郎が親がわりなんだから、ね。」
母さんも父さんも一ヶ月はまひるちゃんと暮らしたんだからどこかに名残があるかもしれない。
頷いて来た道を戻る。
腕の中にいるまひるちゃんは離れようとはしない。
「兄ぃのママもパパも大好き。」
「そうかい、そりゃあよかった…んじゃ帰りは早く帰ろう、二人が待ってるし。」
「うんっ。」
今夜はまた徹夜になりそうだが余裕な気がしてきた。
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