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「でもこの前の人は忘れたのか、もうきていません。」
「はい?」
「あの時海でナンパされたんじゃなくてまひるちゃんのことを色々聞かれたんですよ。」
海…あぁ、あれか。
でもなんでそんな奴がまひるちゃんのことを…。
「勿論追い返したんですけどしつこくこのアパートを見張ってたみたいです。なんでも雑誌記者みたいで…。よくみかけてたんですが、最近はまるで見ません。でもおかげでこうしてまひるちゃんのことを早めに理解できたんですけどね…。」
なんか繋がった…だから夕の奴も何日も学校休んでんのにおしかけてこなかったのか。
「ありがとうございます…でも多分もう忘れちゃいますよ、まひるちゃんのこと…。」
「どうしてですか?」
「俺が解決策を出せないからです…まひるちゃんの誕生日にまひるちゃんは消えるんです…時間ももうそんなにありません。まあ諦めてないですけど…。」
美沙さんは少し困ったような顔を見せた。
逆の立場なら俺もなにも言えないだろうな。
「まひるちゃんとちゃんと話したんですか?」
「なんとなくですが…。」
「それはダメですよ。確かまひるちゃんの誕生日は11月11日、でしたよね。いっぱい遊んで思い出を作るべきです。篭って時間を遣うよりはいいはずです。」
簡単に言ってくれる…俺だってそんなことはわかっている。
まひるちゃんの好きなようにさせてやりたいとか…でもそれに付き合うってことはまひるちゃんが消えるのを容認しているようなものだ。
言葉には出さなかったが美沙さんにそんな俺の気持ちが伝わったらしい…俺から離れると顔を覆い隠し泣き出した。
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