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五人分なのだからお湯も沸くのが遅い。
この間に顔を洗い、歯を磨き容姿を整えた。
毛が薄いらしく髭は剃らなくても今だに問題ない。
長い月日が流れて重要なことがひとつわかった…いくら歳を重ねても魔法使いにならないということだ。
いやもしかしたら度々ある記憶が無くなって朝起きると体がすっきりしているという現象のせいかもしれん。
でももし仮にそれが四人のせいだとしても特に気にとめる必要はないし問いただす気もおきない。
四人には感謝しても仕切れない恩がある。それがまひるちゃんへの裏切りだったとしても謝って許してもらうことにする。
かといって美沙さんとかの明らかな誘惑には丁重にお断りしている…というか待ってもらっている。
彼女が帰って来てないからと。
まひるちゃんがいなくなり15年…それもあと少しで16年なわけだ。
大学を中退して探偵学校に入学。
親父と母さんとは少しもめたけど俺の決意と必ず大きくなる世界だと説明すると最終的には受け入れてくれた。
それから独立するまで更に時間がかかってようやく落ち着いてきたのがここ数年だ。
コーヒーを煎れてから所定位置である少し豪華な椅子に座り視線をソファーで寝ている二人に移す。
由佳ちゃんとそよかちゃんだ。中・高校を卒業して今に至るまでずっと俺を支えてくれた大切な人達。
彼女達のおかげで今までやってこれた…無論美沙さんも夕も同様だ。
「さて、やるか。」
コーヒーを啜ってからパソコンに目を向けた。
昨日の残りを消化しなければならないからだ。
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