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「兄ぃ?」
「よかった、本当に…。」
気を抜くとすぐにこれだ。
格好つけたいのにな…本当に決まらない奴だ。
「兄ぃは相変わらず泣き虫さんなんだね。」
「ずっと泣いてたよ…朝起きて君が居なくてとか色々…それに君がいないと楽しいこともあまり笑えなかった。」
「まひるは悲しくても泣かない…苦しかったり悲しかったら笑うことにしてるから。でも兄ぃとまた逢えて嬉しくて泣きそうだよ。」
肩が濡れたことに気がついた。
少し顔を離して彼女の顔を見つめた。笑顔なのに涙を流していた。
ベールをどかし頬に手をやり指で涙を拭った。
「嬉しいよ、まひるちゃんがそういってくれて…。でも俺は弱いからずっとみんなに支えてもらった…今言うことじゃないけど仲良く二人暮らし、とはいけないんだ。ごめん、情けなくて。」
「兄ぃが女の人にだらし無いのは知ってるから、寛大な妻のまひるは許すよ。でもまひるが1番だよね?」
「自分よりもまひるちゃんが1番大事だよ。その次がみんなで、次が両親でその次が俺だ。」
順序や優劣をつけるつもりはない。
両親もまひるちゃんも由佳ちゃんもそよかちゃんも夕も美沙さんもみんな俺にとっては自分より大事な人達だ。
この人達が俺に助けを求めれば助けたいし救いたい。
それでもまひるちゃんは俺にとってはなにかが違う…特別なのだ。
彼女の笑顔、仕草…全てが俺の心を揺さぶる。また彼女と別れるなんてことになればその時は来世に期待して命を絶つ。
「まひると一緒だ。まひるも兄ぃが1番でみんながいて兄ぃのパーもマーもみんな大事なんだよ。」
「そっか…本当にまひるちゃんは可愛いな。残念だけど溜めに溜めた思いが、爆発する初夜は半端じゃないよ?」
「それだったらまひるも一緒だよ。」
笑って自然とキスをしていた。
そして始まるまでしばしの別れが訪れた。
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