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その場の空気が固まる。
加治さんが苦笑を浮かべ、人差し指で頬を掻いた。
別に言い渋ることじゃない。ただなんとなく、即答する気にはなれなかった。
宮嶋さんの眉間の皺が深くなっていく。
……ま、宮嶋さんだし。
いっか。
「同い年とは言ったけどさ」
「あぁ」
「高校には通ってない」
「……え?」
「だーかーら。俺、中卒なのよ」
宮嶋さんが驚愕の表情で俺を見つめるから、俺は後ろ頭を掻きながらの照れ笑いを返しとこう。
が、宮嶋さんから何の応答もないので、一つ咳払いをして姿勢を正す。
「んで、2週間住み込みしてる間の弁当屋を営業してない時間。無償で授業を受けてもいいって言われたんだけど、今更だし。俺もパスかなーって話をしてたんですよね、加治さん?」
「そうだよ!ほら、藤宮にとって悪い話じゃないだろ!?頼むから、行きますの一言を俺にプリーズ…」
まだ言うか。
「しつこいです」
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