† プロローグ

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   小学校6年生の夏休み、ぼくは『いーちゃん』と秘密基地を作った。    「なぁ、いーちゃん。ここに秘密基地を作ろうぜ」  「うんっ、いいよ。作ろっ作ろうっ!」  そこは二人で遊んでる時に、学校の裏山で偶然見つけた草木のひらけた場所だった。  家が隣で、子供が少ない田舎に住んでいたせいか、僕たちは二人でよく遊んでいた。  幼馴染だったと言ってもいい気がする。    いや、実際、幼馴染だったのかな?  まぁ、いいか。  「秘密基地は秘密だから、だれにも言っちゃダメだぞ」  「うんっ。かーくんもだからね?」  「わ、わかってるって」  「大丈夫かなぁ?」  「うっさい」  「あははっ、ばーか」  「ぷっ、あーほ」    話しながら、数枚のブルーシートとそれを入れるプラスチックのケースで置いただけで二人の秘密基地は完成した。  それはお世話にも秘密基地なんて呼べるものじゃなかったけど。  だけど僕たちにとって、そこは特別は場所になった。
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