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「先生のすごく汚い金で買った物ですが、そろそろ隣町から届きまっせ。」
「一つ言わせてもらうがおれは悪行は重ねてはいないぞ。」
少しむきになって返す俺の言葉を主人は笑いながら煙と共に払った。
「へいへい、すいません。
まぁ、今から門まで行けば受け取れるじゃないですかねぇ?」
全く悪びれた様子もない姿に呆れつつ、ドアに手をかけながら俺はふ思ったことを一言。
「なぁ主人。荷物なんて運び屋に任せれば良くないか?
別に直接取りに行かなくても届けてくれるだろ。」
何の気無しのおれの一言に主人は顔を思いっきりしかめながら言う。
「運び屋のせがれになんぞ」
以下割愛。
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宿屋の主人のありがたい言葉を背に町のはずれにある門へと向かっているわけだが、何やら様子がおかしい。
魔王亡き後、未だに町の外は魔物たちが我が物顔で蔓延っているため、日没後は門が開かないのはどの町であろうと常識だ。
しかし、今通りの先に見える門は日が出ている時間にも関わらず閉ざされている。
そして閉ざした門の足元には、
『破壊』された馬車
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