神格願望不在論

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「っていうか貴方の目とか顔とか読むもクソもなく色々深読みしてる顔ですよ? 人間なんて人生で考えられる思考の数が限られてるんですから、大体私に全部任せて飲み込めばいいじゃないですかー、もう!」 「勝手に俺の願いの成就に口挟んどいてそれかよ! お前神様としてそれはどうなんだよ! むしろさっきの話ちゃんと続けろよ!」  自分に任せろといいつつ話が右に左に逸れているのはどうかと思うが、話は遡って遭遇した時はといえば、先ず「お悩みですね」から始まって「危ないですね死ぬじゃないですか」と続き、最後に「神頼みですかー、このご時世に?」となった気がする。  因みにシャープペンなら目に刺さっても死なないだろう。書くたび芯が鋭くなる例のアレとか製図用ならまだしも。 「いや死ぬとおもいますけどね普通に」 「だから読むなよ」 「シャープペン片手に怪しい笑み浮かべてる時点で読むもなにも無いと思うんですよね……それで続きですが」 「あァ?!」  思わず荒げた声とひきつった頬、加えて表情筋を認識した時点でまずい、とは思ったが、彼女は一切気にしていないように見えた。見えた気がするだけかもしれないが。 「いえ、ですから先程の。この国はもう『神様』は居ないって言ったじゃないですか。私は嘘吐きませんよー?」 「……それとお前が成就できないことと何の関係がある」 「大有りじゃないです? 先ず、そうですね……貴方は『不幸』を前にして何を思いました? その不幸が自分に降りかかった理不尽? 不幸を与えた環境? それとも」 「…………それは」  言葉に詰まる。身に不幸が起きた、とは今の今まで言っていない。唐突に願いがあることを気取られて、唐突に「それはかなわない」と宣言されただけなので、事実として本当に『見透かされた』のはこの瞬間が初めてなのだ。  そして、本当に不幸が起きた時にこう、思った。  ――なんだ、神様なんていないじゃないか、と。
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