凛として～光の王

潜入

窓から鉛色に淀んだ空を見上げる。

これがどんな意味を持つものなのか想像してリンは頬をピクリと痙攣させた。

空が歪んで見える。これは強力に張り巡らせた結界のせいだ。

本来ならば、ここまで外の景色が歪んでしまうまで何重にも結界を張る必要はない。

ここが普通の高校で、普通の状況だったならばの話だ。

見えないはずの透明の壁は、ボンヤリと輪郭を持つほどに強い術が込められていることが分かった。

この土地がどれほど危険に晒されているのか、この結界を見れば嫌でも分かってしまう。

結界を必要としていることは何かからの攻撃を防いでいる、という意味なのだから。

今、とあるニュースが世間を賑わせていた。

この酷い結界もそのニュースが原因だと、ここの生徒達の誰もが解っていた。

その原因とは、突如として新種の猛獣が世界中に出現したというものだ。詳細は不明。

着実に新種の猛獣による被害が拡大しているのは事実だ。

これまでに、その猛獣と同種のものは多数目撃されている。問題は、その猛獣が人を襲ったということも出現する数量も、異例の自体だった。