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リンは特別正義感が強かった訳ではない。
だから、学園の平和を守る為にわざわざここに来た訳ではない。
ただ、大陸最強と歌われた機関ーーーー
<大陸結界士連合会>
ーーーーの結界を破ったとなると別だ。『新種のキメラ』に興味が湧いた。
その結界士連合はセヴァスティカ公国が中心となっている。つまりセヴァスティカの結界士が世界最高レベルということだ。
そして、『誰にも破れない結界』として讃えられていた。
それがこのザマだ、リンにとっては興味深いことに変わりない。
きっとこの事件が無かったら生まれ故郷である国を離れて、高校に転校をしてまで調査しに来るということは無かっただろう。
リンは出無精だから、本当に動く気にならないと動かない。
今回はその価値があった。
新種のキメラか、
密かにリンは含み笑いした。
それにしても、
この暗い空は憂鬱になる。リンの瞳には濁った青が映り込んでいた。
クラスメイト達は思い思いの休憩時間を過ごしていた、ある生徒は読書に耽り、ある生徒は友人と談笑する。
まるで危機感というものが感じられない。
こんなものだろうか、リンはその様子を半分夢でも見ているような気持ちで眺めていた。
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