潜入

4/48
前へ
/177ページ
次へ
リンは特別正義感が強かった訳ではない。 だから、学園の平和を守る為にわざわざここに来た訳ではない。 ただ、大陸最強と歌われた機関ーーーー <大陸結界士連合会> ーーーーの結界を破ったとなると別だ。『新種のキメラ』に興味が湧いた。 その結界士連合はセヴァスティカ公国が中心となっている。つまりセヴァスティカの結界士が世界最高レベルということだ。 そして、『誰にも破れない結界』として讃えられていた。 それがこのザマだ、リンにとっては興味深いことに変わりない。 きっとこの事件が無かったら生まれ故郷である国を離れて、高校に転校をしてまで調査しに来るということは無かっただろう。 リンは出無精だから、本当に動く気にならないと動かない。 今回はその価値があった。 新種のキメラか、 密かにリンは含み笑いした。 それにしても、 この暗い空は憂鬱になる。リンの瞳には濁った青が映り込んでいた。 クラスメイト達は思い思いの休憩時間を過ごしていた、ある生徒は読書に耽り、ある生徒は友人と談笑する。 まるで危機感というものが感じられない。 こんなものだろうか、リンはその様子を半分夢でも見ているような気持ちで眺めていた。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

290人が本棚に入れています
本棚に追加