『若恋』一度だけのキス

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―――若の大事なひとが目の前に眠っている。 白いふかふかのソファーに猫のように丸まってスヤスヤ眠っている。 「りおさん、風邪ひきますよ」 9月半ばにもなると昼寝でも寒い。 「りおさん、風邪を…」 揺り起こそうとして。 ―――やめた 頭にちらつくのは自分だけに向けられた眼差しと言葉。 『ねえ、榊さん、見て!』 『榊さんがいて守ってくれたから』 『ありがとう、いつも』 『妹さんはそんなこと望んでない!』 『誰もが許さなくてもわたしが許すから』 若を庇い銃で撃たれたりおさんを屋敷に連れてきて、すでに数ヶ月が過ぎていた。 若が誰よりも大切にしてるひと。 命をかけて守っている、大切なひとだ。 image=474287728.jpg
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