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「仕方がありませんね。このままでは風邪をひきますよ」
部屋からハーフケットを持ってきてりおさんに掛けると、丸くなって眠るりおさんがうっすらと目を開けた。
むにゃ。
寝ぼけているのか焦点が合わない。
「りおさん、風邪をひき」
「……奏さん?」
ズキン。
若の名前を呼ぶりおさんは幸せそうに口許に笑みを浮かべ、ハーフケットを掛けた指をギュッと両手で掴んだ。
「りおさん、わたしは」
若ではありません。
言葉を飲み込んで掴まれた手をどうしていいのかわからずにそのままりおさんの傍に座った。
白いふかふかのソファーに広がる黒髪。
猫のように丸まって眠る華奢な体。
長い睫毛に薄いくちびる。
この小さな体のどこに若を、みんなを突き動かすパワーがあるのだろう。
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