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「安全圏だな……。結婚でも考えてんの?」
口の端を上げて、フっと蔑むように笑った。
「私が誰と付き合ってても、アキラには関係ないでしょ。
アキラとは、もうとっくに終わってるの」
図星を指されて動揺する自分が嫌で、
精一杯睨みながら、低い声で吐き捨てた。
どこからくるのか、
いつも自信に満ち溢れていたアキラ。
そのアキラが私の言葉に、
少しだけひるんで苦い顔をした。
ドクン。
と再び、胸が締め付けられるように痛い。
どうして、今、そんな顔を。
今まで、一度も『弱さ』なんて見せたことなかったよね。
私の働いたお金で買った服を着て。
その格好で、他の女を抱いて。
なのに、すべてを肯定するようにいつもいつも偉らそうだった。
愛して愛されることだけじゃ埋められない傷だらけで、
限界だった……。
今さら、そんな顔を見せたって
私は、動じない……。
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