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「ぃやっ」
大嫌いになって別れたはずなのに、
私は、この手をどうして振り払えないんだろう。
あれだけ、振り回されて、
ボロボロだったのに。
逃げない私に向けるアキラの瞳には、
もう切ない表情はなく、
いつもの自信に満ちあふれた顔に戻っていた。
「別れの言葉はまだ言ってないはずだけど?」
ゆっくり近づいてくるアイツの唇。
誰か、会議室の扉を開けて。
『助けて……』
口からその言葉が出かかっているのに、
体は近づいてくる唇に吸い寄せられていく。
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