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唐突だが、俺はプールに来たというのに泳ぎたくない。
語弊をなくす努力をするならば、泳ぎたくないというか動きたくない。
真夏の炎天下、見上げると晴れ渡った青空が広がっている。
よき天候のおかげか市民プールは盛況だ。数種類あるプールはどれもそこそこに人が入っていて、日差しを避けるために設けられた屋根付きの休憩スペースも賑わっていた。
久しぶりに来てみたが、ここは本当に規模が大きい。普通のプールはもちろん流れるプールや子供用プール、さらにウォータースライダーまで抜け目なく設置してある。客足は毎年良好らしい。
「兄ちゃん、ボーッとしてないで泳ぎを教えてくれよ!」
聞き慣れた呼び声がしたので目を向けると、小学生の弟が目の前で頬を膨らませていた。
「そういうのはな、人のを真似して上手くなるんだよ。ほら、あそこらへんの泳いでるお姉さんを参考にしなさい」
「兄ちゃんのそれはお姉さんを見たいだけだろ!」
「バカ、声がデカいぞ。恥ずかしいだろうが」
「はじてよ!」
弟が檄を飛ばしてくるが、俺はそれを意にも介さずくつろぐ。
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