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改めて考えても会長の言葉の真意がよくわからない。
付き合うことでなにかメリットが生まれてるのか。
「俺が付き合っているという状況にしたいなら綾に頼んでそういう風にしてもらってもいいですけど……」
「はぁ、お前は女心がまるでわかっていないな。我がお前と幼馴染みだったらきっと既に殺して存在を抹消していることだろう」
よかった、綾が幼馴染みで。
まだやってないことは沢山あるし、そんなに生きたいとは思わないが、せめてあと四倍ぐらいは生きていたい。
「付き合うといっても、特別我がなにかをするわけではないし表面上という意味だ。霞が我に靡けばそれでいい」
「会長は同性愛者なんですか?」
「いやそんなことはないが、霞沙羅は好きだ。あれを手に入れることが我の野望であり目標でもある。というより次そういったゲスな質問をぶつけてきたら我もお前に机をぶつけてやる」
会長の机ってだいぶデカイし重そうだ。
あんなのぶつけてきたら俺は即死すらありえる。
しかしまあ会長は同性愛者だったのか。
要約すると、俺をダシに霞沙羅を手に入れる作戦に力を貸せ、こうなるのか。
だが、霞沙羅の心を傷つけるようで良くないと思う。
「協力しますけど霞さんを傷つけるようなやり方には賛成できません、やっぱりお断り…………しません」
「そうか。高坂由夜、この鋏は腕なんかも簡単に切れてしまう、危ないな。刃先はダイヤモンドでコーティングしてあるせいか、骨なんかも詰まることなく切り落とせる」
かくして無力にも権力と武力に屈した俺は彼女と表面上というか、暫定的に付き合うことになった、いわばお試しみたいなもんだな。
相手は嫌いで俺はそこまでまだ気持ちがない。
「じゃあとりあえずどうしましょうか?」
「そうだな……お前がここで全裸になって我の靴を舐めている写真を霞に送り付けて更に学校中にばらまくという作戦はどうだ?」
「…………」
真顔でそんなこと言われても困る。
おかしい、考えていたよりもよっぽどハードな展開が訪れそうで体調が崩れた。
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