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吐くほど嫌われてるってある意味凄くないか。
俺がよく天沢に対して同じ現象に陥るが……。
「会長さんはここに入学してからずっと普遍的に変わらないものがあるけどなんだかわかるか?」
「知りませんよ。もしかして俺に対する殺意とかですか?」
「いんや違う。あの人は機械みたいで感情が欠如している。仕事ぶりとかみてるだろ?決まったことを守り例外を生まず、関心も示さない。綾ちゃんにだって鞍馬ちゃんにだって親しくしているようでまるでしてない」
そこまでまだ辿り着いてないから賛同はしかねるが、俺にナイフを当てた時のあの無表情な感じは確かに……。
「あのそれが今関係あるんですか?」
「いや大有りだろ、そんな会長さんがお前に吐き気のするほどの拒絶を見せたんだ。関心を持たせた……ということに関しては由夜が初めてじゃねえの?女の初めてを奪うなんてさすがだな、おい」
一樹さんは笑っているけど俺は笑えない。
入学して二年で初めて人間らしいことをしたのが、俺に対する圧倒的なまでの拒絶反応。
それはどうなの?絶対喜ぶべきことじゃないのは確かだし、それを受けている人間からしたら悲しくなるぞ。
「一樹さんからみてそれって羨ましいんですか?」
「当たり前だろ……誰がどうみてもテレビに出てくるようなシャバい女じゃなくて、それこそこの日本で一番綺麗だと思う人間の初めて……めちゃくちゃ羨ましいよ、ああ」
本当に羨ましがっているようにも見えるが、一樹さんともまだ関係が浅いから俺が単にそう思っただけかもしれない。
けど瞳はどこか寂しそうで……そういえば会長になにか誘いをかけたりしているところを見たこと無い。
一樹さんの口ぶりからして口説きそうなものだし、実際何人かの女性を侍らせているのをみた俺からしたら腑に落ちない。
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