霞沙羅

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鞍馬さんがメイドのように全員にコーヒーを配り終えると、一息してから生徒会が始まる。 綾は夏前の大会があるため、テニス部で汗を流している。 何度もこういうのがあるためか、実質人数は大体四人……天沢は天沢で、家庭の事情という理由で欠席している。 最近どうにも天沢の登校やら生活態度に変化が出ていたが、もしかしたらなにかあったのかもしれない。 性格もどちらかといえば優しく……いや紳士的になってしまった。 その点に関しては思い当たる節があるが、それについては後々に機会があるだろうな。 「では相馬は前日通り、部活間の揉め事やらを解決してくれ。昨日言っていた部室に対することについては無理だからそのつもりで当たってくれ。ユーコは引き続き予算に関して、教員達に説明だ。終わり次第二人とも直帰で構わない、では頼む」 「そっかぁ、部室はダメか。ならもうひとつの方は?」 「それは両者が納得するならあくまでも合同練習という形でなら……詳細はこちらに書いてある」 一樹さんは紙を受けとると会長を一瞥して行ってしまう。 確かに会長を目に焼きつけておくといいかも……目の保養になるわ、全てが。 「わ、わかりました……そ、その……私の書いたプリントで平気ですか?」 「特別悪いってのはないと思う。我が書いても同じようになるはずだ」 鞍馬さんは会長にお礼をいうと、なにやら神妙な面持ちで部屋を後にした。 話すのが得意ではないからもしかしたら苦戦しているのか。 二人だけになるが、ここを楽しむ気がない。
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