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―街―
もうバーまであと少し。
悲劇のあの交差点に差し掛かった。
カラフルに夜の街を照らすネオン。
あの時と同じ赤信号。
変わったのは向かい側に唯斗がいないこと…。
信号は青に色を変えた。
あの時の赤信号はかなり長く感じたのに今はすぐに変わった気がした。
あの時人込み、車に邪魔されて動けなかった自分がすぐ後ろにいる気がして振り返ることは出来なかった。
人込みと同時に私は歩き始めた。
唯斗が倒れていた所で高校生の男女四人が笑いながら話していた。
(ここで刺されたんだぜ、ここで!)
(マジ!?めっちゃ私家近いし笑)
(あん時偶然、俺刺されたとこ見たし!)
(うわっグロかったんちゃん!?)
(めっちゃ血出てたで!笑)
(なんか事件って感じでスリルあったわ!笑)
(ふんでその刺された男の彼女っぽい人がおんぶしててさぁ!笑)
(男が女におんぶされるとかダサッ!笑)
そして一人の男子高校生が私を指さした。
(あっあの女!!笑)
(おいっリョウヤ指さすなや!笑)
(かわいそー笑)
(つかあの人めっちゃ美人やん笑)
(いやでも元カレが死人やで笑 ないやろ!笑)
私はその高校生達の目の前で立ち止まった。
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