人魚姫

4/13
前へ
/40ページ
次へ
唯斗のお父さんがマスターとちなを睨んだ。 「あんたらには関係ない。俺はこの娘と話しに来てるんや。」 マスターとちなが唯斗のお父さんを必死で止めていた。 (弥生に暴力振らんといてください!) (ちゃんと話し合おうよ!) (関係ないって言ってるやろ!そこのアマが唯斗誘惑したんやろが!!) マスターと唯斗のお父さんが取っ組み合いになっていた。 ガッシャーン。 棚に飾って置いたお酒のビンが床に落ちた。 私は…無表情で涙を流したまま倒れていた。 ちなは泣きながら二人を止めていた。 (……………弥生?私が…力貸してあげる。) 頭の奥から悲しい阿美の声が聞こえてきた。 阿美は私の体を使ってオーダー表の近くのペンケースからカッターを取り出した。 (あの親父……殺してあげる。) 阿美は涙を流していた。 阿美… 私の気持ち分かってくれたん? ありがとう…。 でも殺したらあかん…。 唯斗も絶対悲しむよ…。 (でも私我慢出来ん…。) 阿美はカッターのナイフの刃を出した。 阿美止めて… 阿美に体が使われて思うように動かない。 ちなは必死で二人を止めていてマスターと唯斗のお父さんは取っ組み合いして阿美に気付いていない。 お願い…阿美止めて。 阿美はゆっくりとマスターと揉めている唯斗のお父さんの元へと歩き始めた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加