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舗装された山道を車内がゆりかごのように揺れ信と怜は疲労もあり後部席で眠りについていた。
信は口を開き蛙の鳴き声に似た大きなイビキをかきながら怜の隣で眠っている。
怜は信のイビキのせいなのだろうか寝苦しそうに眉間を寄せて眠っている。
一方了は中西の手際のよい治療により数時間遅れて東部に向かうとのことだ。
しかし数日間は絶対安静とのことなのだが。
山道は緑林がアーチを作るように不思議な世界を創りだしている。
助手席で惟は車窓から景色を眺めていた。
惟「ねぇ運転手さん。
この島はとてもいい所だね。」
運転手は前を向いたまま笑顔で答える。
運転手「ええ。
東部は特に自然の多い場所ですしね。
しかし送迎している最中は襲撃されるかされないか僕の心は自然を見渡す余裕を与えてくれませんがね。」
惟は大きな欠伸をして涙ぐんだまま答える。
惟「運転手さんもったいないよ!
襲撃されても私がいるから安心して!」
運転手はハンドルを握る両手に力を入れる。
運転手「襲撃されるなんて恐いこと言わないで下さいよ。」
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