陳腐化する平穏

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二人はショッピングモールへとたどり着きその威風堂々と立つビルを見上げた。 信「でけぇなぁ。」 怜はビルの目の前でとあることを思い出したようだ。 怜「あ、……お金ない。」 信「自動ドアの前見てみろよ。 上限一万円までならいけるって書いてんだろ。」 そして怜はフリードの言葉を思い出す。 怜「あっ。 そういえば言ってたよね。」 信「じゃぁ行くか!」 ショッピングモールの中に入った二人は戦場にいることを忘れ楽しんだ。 カラフルに並べられている服の川を食い入るように見る怜。 昨夜から何も口にしていない信は食欲をそそる匂いのする飲食店へと向かう。 ここに居れば敵に襲われることもない。 一時の幸せがこのショッピングモールにはあった。 二人とも買い物を済ませ一階の中央ロビーまで戻って来た。 信「日も暮れてきたし帰るか。 集会場って多分あれだよな?」 信が指差したのはビルの隣にはある丸い銀に染められたドーム型の建造物。 中でプラネタリウムが上映されていそうなイメージが浮かび上がる。 怜「きっとそうだね。 一度帰ってから支度して集合しよう。」 了「ずいぶん楽しそうだな…。」 目の前に現れた了に二人は驚く。 信「了!」 怜「もう大丈夫なの!?」 了「ああ。 dienamo服用者の回復力を身を持って知らされたクク。 それに六は致命傷を避けた攻撃しかしてこなかった。 これがもし本当の戦いなら俺は逝ってたかもなクク。」 平然と非現実的な話をする了に二人は口を閉ざすことを忘れている。 しかしこれからはこの非現実が三人にとっての日常になるのだ。
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