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ベッドでうとうととしているうち、いつの間にか意識が途絶えていた。
次に気づいた時には、時計は七時半を指していた。クロードは緩慢な動きでベッドから這い出した。
出かける準備には、三十分ほどの時間をかけた。
いよいよ外に出ようかという時に、ドアに備え付けられたポストの底に昨日まではなかった紙切れが落ちていることに気づいた。
また、兄からの手紙だろうか。
一番初めにそれを疑ったが、それはありえないはずだった。
郵便物の配達時間は、いつもならばもう少し遅い時間に統一されているからだ。
不思議に思いながら、クロードはそのメモ紙程度の大きさの用紙を手に取った。
内容を確認してから、また不思議な気持ちになった。
『早朝からお騒がせして、申し訳ありません。まことに勝手ながら、あなたに重大なお願いがあります。これを見ていただいたのならば、すぐに隣の部屋へ行ってくださるようお願いします。あなたの家からでいうと、正面より向かって左側の部屋になります。ここは、ゾルトという名の男が住む部屋です。そして、扉を開き、中に入ってください。部屋に入って、すぐ真横にある押し入れの中を調べてみてください。必ず、この一連の行動をして下さりますよう、よろしくお願いします。きっと、あなたにとっても悪くない結果になるはずです』
これが、手紙の内容のすべてだ。
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