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一度目を読み終わってすぐ、クロードはもう一回初めから読み返してみた。
すると一応、執筆者の要求がわかってきた。
隣の部屋に入り、押し入れを調べてほしいというのだ。簡単なことではあるが、それでもこの手紙をクロードに寄越した理由は掴めなかった。
こんなことは、赤の他人に頼む内容ではない。
むしろ、ならば部屋の住人はどうしているのだといいたくなる。
押し入れを調べるのならば、そこに住む住人がすれば済む話なのだ。
それができないのはどんな状況の場合だろうか。
要するに、部屋にいないか、もしくは――。
あまり明るいイメージは浮かんでこない。
そして余談だが、隣人の名は、恥ずかしながらこの手紙で初めて知った。
積極的に人と関わり合うことを、クロードは苦手としていたからでもある。
幼い頃から閉鎖的な環境で過ごしてきたからだと自負しているが、それを言い訳のようにするのは、クロード自身としてはおもしろくなかった。
それに人との関わり合いを嫌っているわけでもなかった。
ともあれ、隣室で得ないの知れない何かが起こっているらしいことは理解できた。
それに対する興味も湧いている。
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