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しかも、本来ならばいるはずの住人すら、なんら音沙汰を見せないのだ。
どういうことだろう、とクロードは考えた。
手紙があったということは、少なからず送り主には、この部屋の中を調べてほしいという願望があったはずだ。
なのに、状況はこれだった。そこにはどんな謎が隠されているのだろう。
もしかすると、手紙の差出人もここに入ろうとしたのだろうか。
しかし施錠されていたために、やむなくその誰かはクロードを頼った――。
ありえなくはない仮説だろうが、何か違和感があることも否めない。
クロードは、とりあえず考えることをやめた。
そして仕事仲間の中ではもっとも信頼している、ひとりの先輩に連絡を取ることにした。
クロードは部屋へ戻った。
急遽呼び出すことになったわけだが、彼は快く頼みを了承してくれた。
ほどなくして、エザルという名の男が、クロードの部屋を訪れたのだった。
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