第3章 EPISODE Liisa

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「じゃあ、代わろう」 フランは運転席を降りた。続いて、リーサのほうも助手席を降りた。 入れ代わって、運転席に着いた。 アクセルが少し遠い。リーサは座席を前に動かした。 こんなところで、ふたりの体格の違いを、不意に実感することになった。すなわちそれは、男性と女性の違いでもある。 バックミラーの角度は問題ない。リーサはシートベルトを締めた。 それからエンジンをかける。教習のときの、懐かしい感覚が蘇った。 「ようし」 リーサは、ゆっくりとアクセルを踏み込んだ。 「安全運転で頼むぜ」 「……どうかなあ」 リーサは、特に何の気なしにいった。 フランが不思議そうな顔をして、こちらを見ているのがわかる。 「なんか……」 「ん?どうかした」 「ううん。なんでもないぜ」 おどけたようにフランは返事をした。両手を後頭部で組む体勢で、彼はどっかりとシートに深く身体を預けた。 リーサは、スピードを徐々に上げていった。
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