第3章 EPISODE Liisa

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三十、五十――最終的には、サーキットを一周する間に、時速七十キロに達した。 これくらいのスピードならば、まだまだ余裕だ。コーナリングで苦労することもない。 「なかなか……いい感じだな」 フランの声は、若干の緊張感を孕んでいた。 この時、スピードはちょうど百キロに到達した。このあたりから、少しだけ身体と目が捉える感覚が変わってきた。 すなわち、より素早い判断が必要となるのだ。 「この車、まだ大丈夫だよね」 「エンジンか?大丈夫だ。無理すりゃ、百六十キロぐらいまではいけるからな」 「そんなに?」 初耳の内容だ。 「でもっ、こ、このサーキットじゃダメだぞっ?物理的に無理だ」 フランは焦った声を出した。おおよそリーサの暴走を恐れたのだろうが、さすがにそれくらいはわかっている。 リーサは、時速百キロを保ったままで走行した。 二周目の終わりに差し掛かった。 三周目――このサーキットは、最初は長い直線から始まる。 次いで右に大きく曲がるカーブがある。フランは、ここを約八十キロに落として走行していた。 でも、わたしなら――。 きっと、このスピードを保ったままでいける。気持ちに迷いはなかった。
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