第3章 EPISODE Liisa

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リーサは自信をハンドルに乗せ、思いきって右へ切った。 「おおいっ、大丈夫かあ」 フランは大きくのけ反っているようだ。 しかし、問題はなく、第一のカーブを突破できた。予定通りだ。 この分だと、もう少しスピードを上げられるかもしれない。 「すっげ。……やれるもんだな」 「ねえ」 前を向いたままで、フランに問いかけた。 「タイヤ。ちょっとくらいなら擦り減っちゃってもいいよね?」 しばしの沈黙がある。 「何をするつもりなんだ……」 「普通にカーブするだけなんだけど、たぶん、ちょっと滑っちゃうと思うから」 「滑る……って」 答えている暇はない。次のカーブだ。 その瞬間、緊張感が一気に込み上げてきた。 そのままの速度で突進し、リーサは左へ一気にハンドルを切った。 「うわわっ」 情けないフランの声が聞こえてきた。タイヤのスリップ音もだ。 と、同時に、ふたりの身体は右方向に思い切り引き付けられた。 シートベルトが切れてしまいそうだ。 でも、カーブはうまくいった。 車体を立て直す。
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