第3章 EPISODE Liisa

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「まったく、むちゃするよな。でも――」 それから、残り数回のカーブを乗り切って、ラストの直線へ戻ってきた。 ゆっくりとスピードを落として、サーキットの路肩にゼファーを停車した。 「ありがとう。満足よ。大会に出るまでに、座席とかシートベルトのあたりも改良しないといけないかもね。あと、できるなら足回りも」 シートベルトを外し、リーサは運転席から降りようとした。 「ちょっと待って」 「なに?」 「リーサ……大会に出ないか」 「大会に……って、そりゃ、出るでしょ」 フランが、ゆらりゆらりと首を振った。 「違うよ。リーサがドライバーとして大会に出るんだ」 「わたしがドライバー……って、わたしがっ?」
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