第3章 EPISODE Liisa

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しかし、やはり今度こそは、逃げるわけにはいかないのだ。 思い返せば、ドラクロスを出たところがすべての始まりだった。 あの瞬間が、リーサの敗北の歴史の始まりだったのだ。 あの時のリーサは、ドラクロスから――そしてホープから逃げ出したのだ。 無論、それ相応の理由だったとは思う。 しかし、あの時は怜人が――ホープのみんながリーサの縦になってくれていた。にもかかわらず、リーサは国を出る決断をした。 それは、自分のためであり、かつホープの皆のための決断でもあったはずだ。 あの選択を間違いだと思ったことはないし、いまさらそう思うこともないだろう。 過去とは、変えることのできないものだ。ゆえに、逃げ出したという事実もまた、変わらない。 それを否定するということは、過去の自身を否定し、ひいては今の自分自身をも否定することになるからだ。 これはリーサの持つ哲学のようなものだった。 だから、今、やるのだ。 リーサは瞳を閉じた。フランとの半年間が蘇った。 公園でのナンパのような出会いから、ともにこの大会を目指した。
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