第3章 EPISODE Liisa

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ドライバーを任された日からは、幾度となくサーキットを駆け巡った。 ゼファーの性能は、可能な限り熟知したつもりだった。 これ以上ない準備万端だ。あとは、フランの期待に応えるだけ。 そして、この大会に優勝したら――。 いや、それは、あとでいい。 リーサは思考を断って、レースに神経を集中させた。 昨日試験走行をしたコースを頭に描いていく。イメージトレーニングは大切だ。それは戦闘でも、レースでも一緒だ。 その時、サーキットいっぱいにアナウンスが入った。 レースの開幕だ。まっすぐ前を向いた先にある、縦に三つ並んだライトをリーサは凝視した。 スリーカウントでレース開始だった。 リーサは集中力を高めた。途端に、すべてが無音になった。視覚だけが研ぎ澄まされていくようだ。 そして、その視覚が得たものを、即座に右足に伝えてやればいいのだ。 集中、集中――。 その瞬間、一番上のライトの赤色が点灯した――次に真ん中。 そして、緑が点灯する。 リーサはアクセルを踏み込んだ。 いっせいに、すべての車体が動き始めた。
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