第3章 EPISODE Liisa

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スタートはまあまあだった。 車体が次々に滑り込んでくるなか、リーサはまず、適当なポジションをキープする。 他のマシンの能力は把握していないが、ゼファーの最高時速百六十キロは、その中でも上位に位置しているとリーサは予想していた。 競り合いになれば負けるつもりはない。 最初の右カーブが見えてきた。まず現れるのは、小手調べ程度の緩いカーブだ。 メーターは、時速九十キロを指している。そのままで突入した。 左肩へと重力がかかる。フランが改造を施してくれたおかげで、身体への負担は激減した。 カーブを乗り越え、問題なくいけるという手応えを掴んだ。 次はさらにスピードを上げていくべきだろう。この感覚は身体で覚えておく必要がある。 レースは、サーキット五周のタイムで争われるからだ。 次の左カーブを越え、さらにその次の右は、隣の車体に注意を払いながらだが、難無く乗り切った。 それから直線だ。左右横には二台が並んでいる。青と黒の車体だ。 ここは離しどころだが、加速のしすぎは禁物だった。 ここで、コース外側の青い車体が速度を上げた。リーサもつられかけたが、メーターを確認して自重した。 それには理由がある。
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