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直線の先は、少しきつい右カーブなのだ。
ぐんぐんとその時が近づいてくる。加速も減速もなく、ゼファーはカーブへ進入した。
そのわずか先を青い車体が行った。
だが、青い車は、予想通り若干外側に振られたようだ。
その隙にリーサは、敵を抜き去った。右側にいた黒の車は、ゼファーの車体半分後ろだ。
リーサは前方を注視した。白の車体と、赤の車体が見える。
リーサは現在、三位で走行しているということだ。距離的にも、追撃は十分可能である。
だからといって、一周目で離されていてはお話にならない。
さらにカーブを数回越えた。前方の二台との差は変わっていないが、今はこれでいいのだ。
まだ一周目、ここは小手調べといっていい。
そして、ついに問題の箇所が近づいてきた。百八十度の角度を誇る“悪魔の曲線”と呼ばれるヘアピンカーブだ。
ここを、どうスピードを殺さず通過するかで、レースの出来は大きく変わるとリーサは想定している。
前方の二台が、先陣をきって差しかかる。車体のようすから、どうやら若干スピードを落としているかに見えた。
あの魔のカーブを目前にすれば、そうなる気持ちはわかる。
しかし、リーサに逃げる選択肢はなかった。
このままの速度で突っ切る。
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