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“悪魔の曲線”は、右に曲がるカーブだ。
ゼファーの車体は迷いなく猛進し、リーサはその勇往さに応えるべくハンドルを一気に右へ切った。
タイヤが甲高い悲鳴を響かせて、車体後方は大きくスリップした。が、狙い通りだ。
ゼファーは百八十度回転して、ぴたりと進行方向を指している。
ただ、速度が幾分殺されてしまうのは仕方がない。
“悪魔の曲線”を突破すれば、あとは最後の長い直線のみだ。
リーサはアクセルを強力に踏み込んだ。
スピードメーターの針がみるみる振れていく。爆音が響くのには、もうすでに慣れている。
ついには百四十キロを指したところで、ゼファーは一周目のゴールを突っ切った。
上々のすべり出しといっていいだろう。
リーサの前を走るのは、赤と白の二台だけだ。並んでいた黒のマシンの姿は、今は後方にある。
ここからが本当の闘いといえた。
おそらく、前の二台にとっても、今のラップは小手調べだったはずだからだ。
そして二周目、まずは最初の右カーブが迫ってくる。
一周目はここを九十キロで乗り切った。ならば、今回は百キロだ。
スピードを調整し、ハンドルを素早く切った。成功だ。もう少し加速できる手応えがある。
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