第3章 EPISODE Liisa

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その限界を見極め続けるのが、ここからの闘いだ。 前の二台を、できるならば四周目のうちには捉えたいところだった。そしてファイナルラップは全力前進で逃げ切るのだ。 二周目は、さきほどとは対称的に、攻めの姿勢を取り続けた。 しかし前の車との距離は縮まらない。 相手も同じようなことを考えているのだから、必然的にそうなるのだ。 ならば、リーサはそれ以上の、彼らさえもが回避するような策を取り、追撃するしかない。 二周目の終わりが見えてきた。 残りは三周。うち一周はラストの逃げの一周だ。 ならば、勝負に出るのはこの三周目か、もしくは四周目だ。 さあ、どうしよう――。 しかしレースの最中に考える時間はない。 リーサは一瞬で回答を導き出した。行くなら、今だ――。 アクセルを踏む右足に、リーサは力を増幅させた。 再びスピードメーターが上昇を始めた。エンジンの回転数も同様だ。 一周目と同様、時速百四十キロを回ったところで、三周目に突入した。 これ以上踏み込むには、若干の恐怖を感じる。 しかし、このラップに限っては、失うスピードは最小限に抑えなくてはならない。
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