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そこには、わずかな敗北感があった。だが、この優良なゼファーを生み出したのはフランだ。
そう、つまりそれは、ふたりの力で勝利をもぎ取ることにほかならない。
直線でゼファーは加速し、赤のマシンよりも早くコースの外角を占拠した。このままの状態で右カーブへ入るのだ。
この場合、外角にいることは不利となるが、その次にくるのは逆の左カーブだった。
つまり、そこでは内角を奪取できる。
勝負のターニングポイントを、リーサはその左カーブだと定めていた。
身体全体が緊張を帯びる。ハンドルを握る掌に、じっとりとした汗ばみを得た。
アクセルを踏む右足は、まるで宙に浮いているかのように無感覚だった。
運命の右カーブだ。ハンドルを右へ。
敵と並走するようになるが、内角を取っている分向こうが頭ひとつ前だ。
次のカーブは目前だが、このまま車体を割り込ませるわけにはいかない。
リーサは無意識に、加速の指令をゼファーへ伝えた。
爆音とともに重力がリーサを襲った。その影響で、ハンドル操作が若干遅れた。
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