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そしてマスメディアに取り上げられるのも、優勝をさらった者になるに違いない。
しかしフランは、甘いな、というふうに立てた人差し指を左右に動かした。
「たしかに、優勝は赤い車の彼だった。でもな、あの大会で一番目立っていたのは、間違いなくリーサとゼファーなんだよ」
フランの言葉に迷いはなかった。
「まず、リーサは独自の戦法で敵を抜き去った。危険な方法ではあったけど、危険だということはつまり人の印象にも残りやすいということだ」
なるほど――。彼のいい分には、納得できる色があった。
「加えて最後のスリップだ。順調にことを運んでた者がラストで逆転される。ドラマ性はばっちりだよ。ま、リーサとしては穏やかじゃないだろうけど」
探るような眼差しをフランは向けてきた。
重ねて、たしかに、とは思うが、無我夢中だったがゆえに起こした結果が、そんな別の意味を孕むことになるとは、まったく予想すらできていなかった。
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