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「うーん、でも、高価なものだし……」
「何いってんだ。使い古しの中古車だよ」
どうやら、一度決意を固めてしまったフランを動かすのは無理そうだった。
何か歩みよる条件を提示する代わりに、リーサは彼の好意を受けることに決めた。
「じゃあ……もしフェルムランドから出ることがあったら、そのしばらくの間だけ、借りることにするね」
これくらいの文句しか思いつかない。
「そうと決まれば、新しい名前を付けないとな」
「名前って?」
「ゼファーの新しい名前だよ。そうだな……リーサが乗るんだから、リーサ・ゼファーだ」
フランは、あまり考える時間を置かず、それなのになぜか、自信満々、高らかに宣言した。
百年の恋も冷めるという言葉があるが、リーサはまさにそんな感じの気持ちになった。
「なにそのセンスない上に恥ずかしいネーミング。……絶対やだ」
「なんだよ、つれないな。せっかくだから、リーサにちなんだ名前にしようかと思ったんじゃないか」
「それにしても、もっとあるでしょ、マシなのが」
「ええー。そうかなあ。わかりやすくていい名前だと思ったんだけどな――」
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