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フランからゼファーを譲り受けたその日から、リーサはフェルムランド国外に出ることを夢見始めた。
もちろん、それでフランとはお別れ、などとは考えていなかった。
フェルムランドを拠点として、少しの間だけでも、外の世界を眺めてみたいと思った。
そうして、時々はフランのところへ帰ってくる。待ってくれている人と、帰ることのできる場所があることは幸せなことなのだ。
リーサは、ある意味初めてそれを知った。ホープ時代にも得ることのなかった感覚だ。
彼らもとても良くしてくれていたが、あの時は仕事仲間という感覚を拭うことができなかった。
思えばフランとは、出会いは軽いものという違いはあったが、始まりは仕事からだった。
しかしいつしか、仕事とは別の意味でも彼を必要とするようになっていたのだ。
プライベートな時間を、長くともにしているという理由もあるかもしれない。
フランは、リーサを快く受け入れてくれた。そして、どんな話でも聴いてくれた。
時々リーサが後ろ向きな気持ちになった際にも、フランは明るく励ましてくれたのだった。
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