第3章 EPISODE Liisa

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――― 「何笑ってんだよ。今はちょっといい雰囲気になるところだろ」 フランが少し拗ねている。 「ごめんごめん」 リーサは掌を合わせた。 「フランと出会った時のことを思い出したの。なんだか不思議だなって感じ」 それから、この一年半で、たくさんの新鮮な経験をした。 フランは最初首を傾げたが、そのうち笑顔になった。 「出会った頃かあ。懐かしいな。リーサは変わったよな、あの頃に比べると」 フランは、大袈裟なくらいに大きく頷いた。 「変わったのかな」 リーサはあえてとぼけてみたが、最終的には彼を立てておくことにした。 「ま、ちょっとは変わったかもね」 「そうだよ。変わったさ。それから、俺だって変わった」 「あんたはずっとそんな調子じゃない」 フランがくちびるを尖らせる。 「なんだよー。前よりはだいぶ真面目になっただろー。ほら、大人になったっていうかさ……」 「はい、はい」 「つれないな。今日は別れの日だっていうのにさ」 フランがしんみりとそういったため、リーサは必然的に別れを意識することとなった。
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